「最近、ユニオン(合同労組)が活動を活発化させているらしい」
「まだ対応したことはないけれど、もしもユニオン(合同労組)が来たらどうすればいいのかな」
「ユニオン(合同労組)の具体的な対応方法を知りたい」
昨今では外国人労働者が増えた影響もあり、ユニオン(合同労組)が動きを活発化させています。
外国人労働者問題だけではなく、ちょっとしたトラブルでユニオン(外部労組)が出てくることも増えており、一度揉めると人事課長レベルでは問題解決できないこともあり得ます。
この記事を読めば、ユニオン(合同労組)への対応の方法が分かり、適切にトラブルを処理することができます。
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ユニオン(合同労組)とは何か
ユニオン(合同労組)とは、自社の労働組合がある場合には通称外部労組ともいわれます。
名前の通り、合同で会社外で結成された労働組合であり、多くは共産党系の過激な組織となっています。
通常の社内の労働組合であれば「それくらいなんでもないだろう」というようなレベルの問題に対してもしつこく食らいついてくることが多いです。
何となく人事や総務がやっていることが、実は社外から見るとトンデモないことだった場合、ユニオン(合同労組)に付け入るスキを与えてしまうことが多いです。
ユニオンの目的は紛争解決金を取ること
ユニオンにとっての飯のタネは、基本的には労働トラブルに介入して会社からお金を取るという点につきます。
紛争解決金という名目でのお金を取ることが彼らの目的であると理解すると対応がしやすくなります。
社内労働組合とは違い、ユニオン(合同労組)は労働トラブルに介入してきて、100万円から200万円程度の金銭を要求するケースがあります。
紛争解決金は、解雇した従業員への補償金とは別に支払う必要性があるため、介入を許すと本来の倍額近いお金がかかります。
ユニオン(合同労組)に目を付けられる原因となりやすいのは解雇案件
ユニオン(合同労組)に目を付けられる原因となりやすいのは、解雇案件です。
例えば、契約社員であっても2年と11ヶ月を超えて契約更新を行っている場合には、従業員を解雇することができず、契約更新をしないという選択肢をとることは難しいです。
にも拘わらず、うっかりと経営者の命令で総務や人事が契約社員の契約更新をしなかったなど、法律的に認められていない解雇を行おうとしたとき、ユニオン(外部労組)が出てくることになります。
これまでであれば労働組合とは自社の正社員を守るためだけに存在しており、契約社員へ対応で労働組合の相手などはすることがなく済んできたというケースがほとんどでした。
しかし、ユニオンという会社の外に出来ている連合体のような組織に相談が行ってしまい、トラブルに巻き込まれることが多くなりました。
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ユニオンが入り込んでしまうような案件を紹介
ユニオンが介入してくる案件は、以下のような案件です。
- 正社員と契約社員、外国人技能実習生の解雇
- 労働条件に嘘があった場合、または労働者と食い違いがあった場合
- 残業代未払いなどがあった場合
- 賃金未払いがあった場合
- 最低賃金法に違反してしまっている場合
それぞれについて解説させていただきます。
正社員と契約社員、外国人技能実習生の解雇
「解雇って従業員側に責任があるときしかうちはしていないよ。違法行為ではないはずだ」と思ってしまう経営者の方も多いです。しかし、雇用形態を問わず従業員を解雇をするときは、ユニオン(外部労組)が出てくる可能性を常に考えて下さい。
基本的に、日本の労働基準法では解雇は滅多なことでは認められていません。
明らかに本人に問題があるケースであっても、従業員の解雇はできません。
外国人技能実習生で、仮に全く仕事が覚えられず、周囲に馴染めないというケースであったとしても、解雇をすることは難しいです。
無断欠勤を繰り返す従業員がいたとしても、それを理由に解雇する場合は、かなり難しいといえます。
それほど従業員を解雇することは難しいと理解しておきましょう。
どうしても解雇する必要性がある従業員が出た場合には、顧問弁護士をお願いするなどして、法律のエキスパートと一緒に解雇を行ったほうが無難であるといえます。
間違っても解雇案件を経営者の独断や、総務人事などの権限のある部署に独断で行わせないことです。
解雇案件があったら従業員に任せるのではなく、必ず経営者に報告させる体制をとって、経営者から法律の専門家に相談できる体制を構築したほうが後のことを考えるとお得だったということはザラにあります。
労働条件に嘘があった場合、または労働者の認識と食い違いがあった場合
労働条件に嘘があった場合(求人票に書かれていた内容と入社時の労働条件が違ってしまった場合も含めて)、労働条件に関して、労働者の認識と食い違いがあった場合にもユニオン(合同労組)の出現を招く可能性があります。
例えば、求人広告には月給30万円と記載していたけれど、面接などでスキルチェックをした結果、月給25万円になった場合などです。
本人に求人広告に掲載されていた賃金とは違い、25万円になるけれど問題ないかなど、入社前に意思確認を徹底することが必要です。
入社時に労働条件通知書などを発行して、本人の記名捺印を貰っておくのも有効な措置となります。
月給25万円でたしかに納得して、私は入社しますという内容のものを発行するようにしましょう。
残業代未払いなどがあった場合
「うちは残業代の未払いなんてないよ。ちゃんと払ってるし、これまでも問題なかった」と考えている総務人事や経営者の方は多いです。
しかし、実態として法律と離れていることがあります。
残業代をしっかりと1分間単位で支給している企業の場合は、ユニオン(合同労組)に付け入られることは滅多にありませんが、大手企業でも残業代を15分単位で支給にしているところは結構あります。
ユニオン(合同労組)は抜け目がないため、残業代の1分間単位での支給が行われていたかなどもチェックしてくる傾向にあります。
平常時はなんとなく社内で通用しているルールの網目をついて紛争解決にもっていこうとするのがユニオン(外部労組)なので、しっかりと残業代支給に関するルールを定めておくことが大切です。
特にみなし残業制度を導入している場合、みなし残業代を支給している時間をオーバーして残業している社員が存在する場合もリスクとなります。
タイムカードをしっかりと整備して、普段から残業過多な社員には早く帰るように注意指導する、パソコンをみなし残業代の支給時間以上になれば強制的にシャットダウンして帰らせるなど出来る工夫を普段から行うようにしましょう。
最低賃金法に違反していた
外国人労働者を雇用したけれど、最低賃金以下で働かせてしまっているケースなどはユニオン(外部労組)の格好の餌食となります。
最低賃金法が各都道府県ごとに定められていますので、全国に支社のある企業の場合は、各都道府県ごとの最低賃金を必ず確認して最低賃金法に違反していないかを確認するようにしましょう。
そんな初歩的なミスはしないよ、という総務人事の方も多いですが、現場に採用を一任して支社長権限で支社の人員補充を許している場合、採用の報告が本社人事には一番最後に来るケースが圧倒的に多いです。
支社の責任者で、全く最低賃金法の知識のないものが採用をしており、「外国人だから安くていいと思っていた」という報告が上がってきたら最悪ですね。
最低賃金法のような初歩的な法律違反で、外国人労働者が不満を溜め込み、大きな問題に発展することは少なくないです。
会社全体で外国人に関する処遇などについて情報共有を行い、正しい処遇とは何かということを共有しておく必要性があります。
具体的には会社内の人事部員や総務部員を外国人雇用についてのセミナーに参加してもらって勉強をしてもらうなどの対策があります。
ここまでは、ユニオン(合同労組)が入ってこないようにするための方法について解説しました。
ここからは、ユニオン(合同労組)に介入されてしまった場合の対応策について解説します。
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ユニオン(合同労組)に介入されてしまった場合の対応策
労働トラブルが大きくなってしまって、いよいよユニオン(合同労組)に介入されてしまった場合は、以下の方法があります。
- 紛争解決金を支払って、和解に持ち込む
- 知らぬ存ぜぬを突き通す、相手にしない
- 弁護士に依頼して、紛争解決に挑む
それぞれについて解説させていただきます。
紛争解決金を支払って、和解に持ち込む
ユニオン(合同労組)が介入してくるケースとして、解雇案件が最も大きな比率を占めると考えられます。
特に解雇の場合は、会社と従業員がすでに揉めている状態で、社員も復職を希望せず和解金を求めてくることが多いです。
会社と揉めてしまっている以上、復職をしても仕方がないので、お金をせめて欲しいと思っているケースがほとんどです。
そのため、支払いが二重になってしまいますが、ユニオン(合同労組)と、解雇した元従業員に対して、ユニオンには紛争解決金を支払い、解雇した元従業員には退職金の代わりに和解金を支払うのが最も合理的な判断となります。
但し、一度簡単にお金を支払う姿勢をユニオン(合同労組)の幹部などに知られてしまうと後が非常に面倒です。
「あそこの事業所、簡単に紛争解決金を支払うぞ」という評判になってしまうと、あとから解雇ほど重大な案件でなくても些細で軽微なことでユニオン(合同労組)が介入してくる事態を招くことになるためです。
簡単に金を払う脇の甘い会社と思われてしまうと、骨の髄までしゃぶられることになりかねません。
紛争解決金をやむなく支払うことになるケースでも、顧問弁護士を入れて舐められないようにしておくことが良いといえます。
いずれにしても、あまりにもあっさりとお金を支払うのではなく、何度か話し合いを行うなどのステップを踏むようにしてください。
簡単に支払うとその場は収まっても、あとが大変なことになります。
知らぬ存ぜぬを突き通す、相手にしない
知らぬ存ぜぬを突き通すか、相手にしないという方法をとることも可能です。
ユニオンは紛争解決でお金を払ってもらって、それで決着を望んでいるケースも多いです。
そのため、最初から相手にしないという方法をとることも可能です。
但し、無視を決め込んでしまうと相手はこちらを刺激してきます。
会社に何度も乗り込んできて交渉をしようとしてきますし、ひどい場合には悪評を垂れ流されたりします。
お金をとるか名誉を取るかという経営者の判断に最終的にはかかってきますが、単独で無視を決め込むよりは顧問弁護士に依頼して「話し合いには望まない方向でお願いする」という風に伝えて、シャットアウトする方法があります。
総務人事で対処しきれれば問題ありませんが、現実的には人事課長レベルが矢面に立ってもなかなか収束しません。
ユニオン(合同労組)の対応で、終日、メインとなる人事課長の業務がストップしてしまっては本末転倒なので、防波堤役として弁護士に依頼するのが現実的です。
弁護士に依頼して、紛争解決に挑む
労働法に詳しい弁護士に依頼をして、ユニオン(合同労組)との紛争解決に挑むのが最も合理的です。
理由としては、法律のプロが出てくることでやっとユニオン(合同労組)との交渉に対等になれるという現実があるためです。
経験豊富な人事の社員が社内に育っている場合は別として、ユニオンとの交渉は議事録なども残してきますので、下手なことをいうとさらに火に油を注ぎます。
弁護士が出てくればユニオン(合同労組)も「あ、やりすぎるとかえって自分たちがまずい立場に追い込まれるな」という意識が出てきますので、けん制効果もあります。
ユニオン(合同労組)は基本的に労働法違反を糾弾するのを目的に来ているので語気も荒いですし、かなり強引なやり方で紛争解決に挑んできます。
弁護士に依頼して最初から金銭的な和解ではなく、きちんと企業としての言い分を相手方に伝えて、紛争解決金の金額を減らすということが合理的です。
弁護士が味方につくことで、違法行為が確認された部分についてはしっかりとお金を支払い、それ以上はびた一文出さないという姿勢で挑むことができます。
いきなり100万円や200万円という突飛な金額を請求されることも弁護士が間にいれば滅多に起こりません。
しっかりとした弁護士と顧問契約を結び、ユニオン(合同労組)との交渉に挑むようにしましょう。