「辞めた社員から残業代の請求が届いているけれど、この数字はかなり残業の実態と離れているぞ」
「うちはみなし残業代を支給しているし、そもそも残業をしないようにさせていたのに、なぜこんな仕打ちを受けるんだろうか」
「再就職がうまくいっていない腹いせに、残業代請求してきたのだろうか」
会社を辞めた元社員から書留速達が届いていて、嫌な予感をしながら封筒を開けてみると「残業代請求」の用紙だったりします。
心臓にも悪いですし、ほとんどのケースでは脅し文句のような手紙がついています。
届いた封筒の中身に書いてある残業代が明らかに残業時間よりも多い場合には、しっかりと時効になっている部分を確認して対処する必要があります。
この文章を読めば、どのように過剰な残業代請求に対処するか知ることができます。
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- 残業代は最後の給与支給日から遡って2年間分だけ支払う義務がある
- 給与資料は防衛策としてしっかりと残しておこう!
- 従業員の主張している残業時間が、多すぎる
- みなし残業、固定残業代という名目で残業代はすでに支払い済である
- 弁護士に依頼しないと、かなり厳しい状態に追い込まれる可能性の高い事例
- 管理職だった社員が残業未払いについて訴えてきた
- ユニオン(外部労組)がでてきたときの対処法
- 残業禁止令だけでは、残業をさせていなかった証拠にはならない
- 残業代を過剰請求してくる従業員の問題行動は探っておこう
- 未払い残業代の請求が来たら、すぐに対処したほうが良い理由
- 総務人事だけでは対処できない経営者の判断すべきケースについて
- 総務人事だけでは対応しきれないケースも多い
- 元従業員から過剰な残業代の請求が来たら、弁護士に相談をしよう。
残業代は最後の給与支給日から遡って2年間分だけ支払う義務がある
残業代を勤続していた年数分請求してくる社員が多く存在しますが、実際に支払いの義務があるのは給与の最後の支給日から2年が経過していない部分だけです。
つまり、ある日、突然、残業代を請求されても、最後の給与支給日から2年以上経過している社員の残業代は払わなくて問題ありません。
退職日が2年以上前の社員から請求が来ても、支払い義務はないですね。
残業代が過剰請求になりがちなのは、勤続していたすべての期間分の残業代を請求されてしまうからということも多いです。
毅然とした対応をとるようにしましょう。
給与資料は防衛策としてしっかりと残しておこう!
辞めてしまった社員の給与資料や、履歴書などは速やかに破棄するという会社が多いです。
履歴書は個人情報保護の観点から捨ててしまったほうが良いですが、給与支給明細書は紙ベースで必ず残しておきましょう。
いきなり残業代請求が届いても慌てずに済みますし、せめて退職日のデータだけでもあれば時効が成立しているかどうか調べることができます。
従業員の主張している残業時間が、多すぎる
従業員の主張している残業時間が、実態よりもあまりにも多すぎるということがあります。
例えば、従業員が喫煙者であった場合、残業時間中にずっとタバコ休憩に行っていたというケースもあります。
休憩室でお茶を飲んでいる時間にタイムカードを切らずに休憩をしていたりすると、実際の労働時間ではないにも関わらず残業代がついていしまうことになります。
本当にタイムカードの時間通りに残業していたのか、また残業をしていたのならなぜ、終業していた時代に正当な権利として主張して残業代を得ようとしなかったのかなど、反論できるようにしておきましょう。
みなし残業、固定残業代という名目で残業代はすでに支払い済である
みなし残業代や、固定残業代としてすでに残業代を支給済であると反論することも可能です。
但し、注意すべき点として、仮に残業代を固定で毎月30時間支払っていたとしても、40時間残業した月があり、その部分について支払いがないと未払いと言われる可能性が高くなります。
正確な労働時間の把握は、会社の義務なので、しっかりと毎月の残業時間については目を光らせておく必要があります。
また、反論できる材料となるタイムカードなどがみなし残業制度の場合は、導入されていない企業もあります。
どうせ毎月固定的に残業代を支払うから、必要ないといって導入しないと、相手の主張通りに支払わなくてはならない可能性があります。
タイムカードだけは社員全員に持たせておく必要性があります。
弁護士に依頼しないと、かなり厳しい状態に追い込まれる可能性の高い事例
ここまでは事業所でなんとか対応できるレベルの残業代未払い対策です。
ここからは弁護士に依頼しないと、かなり厳しい状態に追い込まれる可能性の高い事例について紹介していきます。
残業代未払いをこじらせると、ブラック企業の汚名を着せられて会社の看板に傷がつくばかりか、優秀な社員を雇うことも難しくなります。
それを防ぐ意味でも、ここから先の事例に遭遇したら、弁護士に依頼を検討してください。
管理職だった社員が残業未払いについて訴えてきた
管理職だった社員や、経営幹部職だった社員が残業代未払いについて訴えてくると、非常にまずい状態になります。
会社の経営情報などを握っており、下手をすると労働基準法以外のコンプライアンス違反などに飛び火する可能性があるためです。
一般的には課長職以上の管理職の地位にあった社員には深夜残業を除いて残業代を支給する必要性はありません。
- 課長職以上の職位にあるが、労働者性のある社員だったもの
- 店長など労務管理を行っていた社員
など、経営者に近い権限を付与された社員から残業代の請求が届いた場合は、弁護士に相談をすることをおススメいたします。
残業代を支払わなくても良い可能性は高くても、元管理職などが訴えを起こすと大きな問題に発展することがあるためです。
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ユニオン(外部労組)がでてきたときの対処法
残業代未払いの請求が書面だけで終わっている場合は、まだ救いがありますが、最悪の展開としてユニオン(外部労組)が出てくることも多々あります。
会社の所在地にもよりますが、ユニオンが出てくると、非常に交渉は大変になります。
共産党系の幹部が会社に乗り込んできて、不当行為を大声で糾弾したり、かなり強硬的な手段に訴えてくることもあります。
こうなると、弁護士に依頼するほかありません。
顧問弁護士をしっかりと抱えているならば対応できるトラブルですが、顧問弁護士といっても実は労働法に強い経営側弁護士は数が少なかったりします。
しっかりとユニオンに強い弁護士に依頼するようにしましょう。
残業禁止令だけでは、残業をさせていなかった証拠にはならない
会社をあげて働き方改革などを行っている企業ではなくとも、残業を禁止していたという弁明をしたいということがあります。
残業禁止令を出していただけでは基本的には不十分であり、管理職などから一般社員に対して一切の残業をしないように普段から口頭注意を行っていた、残業になりそうな場合は管理監督者性のある課長職以上のものに仕事を引き継いで帰るように指示していたなど、残業を防ぐ仕組みが機能していたかどうかが重要となってきます。
労働法に強い弁護士でないと、なかなか判断がつかないグレーな部分が多いため、弁護士に依頼したほうが良いと言えるケースです。
残業をさせないためにビルの電源ごと落としていたというような会社でも、実態としては社員が懐中電灯を持ち込んで仕事をしていたりするケースもあり、専門家でないともはや戦えないレベルの泥沼になりやすいのが、この残業禁止令です。
残業代を過剰請求してくる従業員の問題行動は探っておこう
残業代の過剰請求が来たら、社員の行動などはしっかりと探るようにしておきましょう。
私も経験していますが、経理部の社員が横領をしていたというケースがあります。
単純に仕事内容を深堀していくと、明らかに合わない勘定があり、探っていくとお金が明らかに個人にプールされているといったお粗末なものでした。
普段からしっかりと見張っていればこのようなことにはならなかったとはいえ、残業代を請求するなど、用意周到に経営者に対して揺さぶりをかけてくる社員は何らかの不正を行っていることもあり得ます。
強かなので、経営者の前ではニコニコしていて、いざとなるとお金を奪おうとしてくるということですね。
仮に何か不正を働いていた場合には、その不正をしていた金額と残業代請求の金額がうまく相殺されることもあり得ますし、反対に請求することができるということもあります。
不問にするので、もう請求は取り下げてほしいと伝えることもできます。
元従業員が金銭的な損害を会社に与えていないかどうかについては、しっかりと調査するようにしましょう。
未払い残業代の請求が来たら、すぐに対処したほうが良い理由
未払い残業代の請求が来たら、すぐに対処したほうが良い理由として、以下の理由があります。
- 未払い残業代の請求を放置すると、ユニオンなど、悪質な団体と交渉しなければならないことがあり得る
- 未払い残業代には遅延するほど利息が上乗せされる
- 基本的に放置して時間が経過するほど、対処を遅らせるほど、事態は悪化していく
さらに、未払い残業代をめぐって元社員と戦うことになると、もっとしんどいことになります。
- 労働局のあっせん対応
- 労働審判
- 労働審判をこじらせると、訴訟に発展
の対応に追われることになります。
労働局のあっせんとは、労働局に元社員が出向いて、労働局員を間に挟んで会社側の言い分と労働者側の言い分を双方で言い合い、最後は金銭解決にもっていくというものです。
お金だけで終わるだけならまだ良いですが、さらに問題がこじれると今度は労働審判という軽い裁判のようなものに突入することもあり得ます。
労働審判の場合は、しっかりとした弁護士を弁護人に立てないと、会社側の負けとなることが圧倒的に多いです。
和解金を支払うことでほとんどは決着がつきますが、労働審判をこじらせると訴訟に発展して、事件として社会的な注目を集めてしまいます。
こうなると、最悪はブラック企業という扱いを受けてしまうことになります。
あくまでも火が大きくなる前に早く消火活動を行う必要があります。
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総務人事だけでは対処できない経営者の判断すべきケースについて
ここまでは、総務人事だけでは対処しきれないケースについて紹介させていただきました。
ここからは、総務人事だけでは対処できない場合の、経営者の判断すべきことについて紹介させていただきます。
基本的には総務人事だけでは対処しきれない場合、弁護士などの専門家に依頼することで、本業に差し支えなく残業代請求に対処することが可能となります。
総務人事だけでは対応しきれないケースも多い
企業内に総務人事を雇用しており、彼らがなんとかしてくれるだろうという期待をかけておられる経営者の方は非常に多いです。
ケースによっては総務人事でもなんとか訴訟や労働審判に至らず、丸く収めることができる場合もありますが、ある一定のラインを超えると弁護士がいないと戦えない状態になります。
あくまでも話し合いと金銭解決で止まれば良いのですが、従業員側に正規の残業代を支給しても相手が納得しないと、結局は労働局のあっせんなどに発展します。
労働局のあっせんもまだ、社内に優秀な人事担当者がいれば何とか話し合いと金銭解決で決着することができます。
しかし、これ以上のラインになってくると、総務人事の担当者がいたとしても戦うことは難しくなります。
理由としては、法律のプロフェッショナルといえる弁護士でないと、労働審判の場では頼りないですし、相手方が弁護士などを立ててくると、同じレベルでは戦えなくなるためです。
相手が弁護士を立ててきたときは、会社側も弁護士を立てないと要求を丸ごと飲む羽目になりかねません。
まして訴訟などに発展してしまうと、もはや会社だけで戦うのは無理です。
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元従業員から過剰な残業代の請求が来たら、弁護士に相談をしよう。
企業内に総務人事の担当者がいたとしても、従業員からの過大な残業代請求が来たとすれば、簡単に話が終わればよいですが、そうでないケースに発展することもあります。
会社内だけでなんとかしようとして、結果的には大金と経営者が本来仕事に避ける時間を失うといったケースも少なくありません。
できれば、深刻さの度合いをしっかりと経営者自身で確認し、「これはうちの総務人事では無理そうな案件だな」と感じたら、迷わず弁護士に依頼をするようにしましょう。
結果的には顧問弁護士を普段から依頼しておいたほうが良かったというケースは後を絶ちません。
いまあなたが好意的な目で見ている従業員がいつ、経営を脅かす敵になるのか分かりません。
弁護士との顧問契約を行い、確実に会社を守れる状態を構築しておきましょう。
出来れば労務トラブルは起こらないことが一番良いですが、なかなか労務トラブルを起こさずに事業を継続することは難しいといえます。
もしも元従業員から過剰な残業代請求が来た場合には、自社だけでは対応できないこともあるため、弁護士に頼るようにしてください。
社会的な信用も守られ、お金を守ることもできます。