問題社員の類型・傾向と問題社員に対すべき対応策

▶ 問題社員への対応|辞めさせる前に踏むべき手順を弁護士が解説(使用者側)
本記事は、労務の提供が不十分な社員、勤怠の不良が続く社員、職場の秩序に影響を及ぼす社員などへの対応に苦慮しており、まず問題行動の類型を見極めたい会社の経営者及び人事担当者の方に向けたものです。類型を見極めた後の指導から雇用の終了までの手順を組み立てたい方は、問題社員への対応|解雇の要件と、適法な退職勧奨の進め方(使用者側)をご覧ください。
従業員からのハラスメントの申告への事実の調査と会社の責任は、次のページでご案内しています。
対応の手順 客観的な事実の把握から始めます
いずれの類型におきましても、手順は共通です。
- 事実の特定 いつ、どの業務について、どのような事象が生じたかを、日時、関与者及び具体的な内容により特定します。人格に対する評価ではなく、行為及び結果を記録します。
- 調査 本人及び関係者から事情を聴取し、記録を作成します。本人には弁明の機会を与える必要があります。
- 指導及び改善の機会の付与 改善すべき事項、期限及び支援の内容を書面により示し、その後の経過を記録します。
- 配置の転換等の検討 適性の問題である場合には、配置の転換により解決し得ることがあります。
- 懲戒処分 就業規則に定める事由に該当すること、処分の内容が相当であること、及び手続が適正であることを要します(労働契約法第15条)。
- 雇用の終了 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、権利を濫用したものとして無効となります(労働契約法第16条)。上記1から5までの記録が整っていない段階での解雇は、無効と判断される危険が高くあります。
権利の行使を理由とする不利益な取扱いは禁止されています
次の行為を理由として、解雇その他の不利益な取扱いをすることは、法律により禁止されています。対応の要否を検討される際には、問題としている事実が、これらの権利の行使に当たらないかを必ずご確認ください。
- 労働基準法違反の事実を労働基準監督署等に申告したこと(労働基準法第104条第2項)
- 労働組合を結成し、若しくは加入し、又は正当な組合活動をしたこと(労働組合法第7条)
- 職場におけるハラスメントについて相談を行い、又は事実関係の確認に協力したこと(労働施策総合推進法第30条の2第2項等)
- 公益通報を行ったこと(公益通報者保護法第3条から第5条まで)
- 年次有給休暇を取得したこと、育児休業又は介護休業を申し出若しくは取得したこと
心身の不調が疑われる場合
勤怠の不良、業務の遂行の困難、対人関係の変化等の背景に、心身の不調がある場合があります。この場合には、懲戒ではなく、産業医の面談、就業上の措置、休職の制度の適用といった健康管理の枠組みで対応することが適切です。使用者は労働者の生命及び身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をする義務を負っています(労働契約法第5条)。判断に迷われる場合には、処分に踏み切る前にご相談ください。
この記事の位置付け
本ページは、問題社員への対応と雇用の終了に関する実務に関する解説のうちの一つです。全体像は、次の中核となるページをご覧ください。
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