「また例の従業員が労働基準法違反だと騒いでいるらしい。全く仕事をしないで喫煙所で遊んでいるだけのくせに困ったものだ」
「またあいつ、無断欠勤しているな。いったいどうしたものか。このままいくと有給もなくなって欠勤になるぞ」
「何度言っても上司の命令を無視して仕事をする社員がいる。就業規則違反なんだけど、解雇すべきなのかな」
モンスター社員と言われる社員には一定の特徴があります。
基本的には会社の定めた就業規則にそもそも従わない、無断欠勤や遅刻を繰り返す、労働基準法違反だと過剰に周囲の社員を扇動するといった特徴があります。
各会社で人事部などがある場合は対処できるケースもありますが、弁護士に相談なしに社長が独自判断で解雇などを行うと、訴えられてお金を失うケースが大半です。
この文章を読めば、問題社員の類型が理解できて、どう対処すれば会社の社会的な信用を守ることができるのかが理解できます。
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問題社員の類型その1 仕事をしないのに権利を主張する
会社に来ても全く仕事をせず、喫煙所に直行して、そのまま終業時間が終わるまで出てこない社員や、仕事を全くしていない社員など、そうした社員ほど権利を主張する傾向にあります。
- そもそも出世を考えていない
- いかに時間を潰してお金を貰うかしか考えていない
- 給料分以上の仕事をしない
- そもそも仕事をする素振りすら見せない
といった特徴があります。
出世を考えていないので、権利を主張するだけして経営者にいくら嫌われても気にしませんし、仕事をする素振りすら見せないから可愛げの欠片もありません。
いますぐにでも解雇したい!と考えていても、問題が本格化するまで放置せざるを得ないというのが実情ではないでしょうか。
対策としては、上司からの命令で、業務日報を付けさせて業務について改善命令を出させるなどの対策が有効です。
毎日の業務について、しっかりと報告させるようにしましょう。
ミスが多すぎて社内ニート化してしまっている場合は、しっかりと仕事を与えるようにしましょう。
それでも改善が見られない場合は、就業規則に照らし合わせて処分を少しずつ与えていきましょう。
いきなり解雇すると問題が出ますので、軽い注意から徐々に職責など重いものに切り替えていきます。
最終的には解雇にもっていくことが良いといえます。
社内に人事部のように解雇権限を持った部署がない場合には、弁護士に依頼をして、法的に問題なく会社を去ってもらえるようにアドバイスを受けて、段階を踏んで解雇するようにしましょう。
いきなりの解雇は外部労組のユニオンなどに目を付けられる可能性も高いので、弁護士と一緒に徐々にステップを踏み、解雇するようにしましょう。
労働基準法違反について過剰に主張する社員
ここまでは、問題社員の類型で最も多い、仕事をしない社員について解説させていただきました。
ここからは、労働基準法違反について過剰に主張する社員について解説いたします。
問題社員の類型その2 過剰に労働基準法違反を喧伝する
労働基準法は網目が細かく、どうやってもほんの僅かに違反するケースが出てきます。
残業代の支給方法、安全衛生法など、本当にわずかに守れておらず、労働基準監督署も目をつけないようなレベルの違反について過剰に周囲に喧伝する社員がいます。
問題社員の類型として二番目に多いのが過剰に労働基準法違反を周囲の社員に対して喧伝する社員です。
こうしたタイプの問題社員を相手にする場合は、
- 部署異動を行う
- 経営者直轄部門で監視下に置く
- 解雇する
の3つの手段が現実的な手段となります。
人事部が会社内にある場合は、人事部付として人事の仕事をする権限は与えず、雑用などの仕事を割り当てて監視下におきます。
部署異動を行い、経営者から信頼の厚い部長職のいる支社などに飛ばしてしまい、定年まで耐えるという手段もあります。
どうしても人件費的に無駄な存在であると考えている場合には、解雇するという形をとるのも手段としては有効です。
但し、3番目の解雇するという手段をとる場合には、弁護士を入れて対策をとったほうが良いといえます。
理由としては、以下の通りです。
- もともと労働基準法に詳しい社員を相手にする場合、総務人事担当者だけでは手に負えないことが多い
- 問題社員は、労働局などを活用してくるため、こまごまとした出頭要請に経営者や総務人事が対応しなければならない。そして、普段の業務が滞ることで、会社としての信用を失うことになる
- 仮に社労士資格を保有している人事部員がいたとしても、裁判などの手続きには社労士は出ていくことができない
社員だけではなくパートアルバイトなども含めて、いったん雇用した社員を解雇するのは非常に難しいです。
しかし、どうしても解雇しなくてはならないという決断を迫られたときには、弁護士に依頼するのが一番手っ取り早いといえます。
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問題社員の類型その3 仕事をブラックボックス化させる
問題社員の3つ目の特徴として、仕事をブラックボックス化させるというものがあります。
自分にしかできない仕事を大量に作って、他の人に振らないという仕事のやり方をする社員です。
部署ごとに職務分掌を作らない会社にも問題があるのですが、自分にしかわからない仕事を大量に作ることで会社内の雰囲気を悪くする傾向にあります。
また、それだけではなく、仕事をブラックボックス化させる社員には以下の特徴があります。
- お局のような存在になっており、著しく社内の雰囲気を悪くしている
- 仕事をブラックボックス化させる社員が原因で、他の社員が離職していく
- 仕事がその人のところで滞留するので、効率が下がる
といった業務上の問題を引き起こす可能性があります。
仕事をブラックボックス化させる社員を放置することで、社員の離職率が上がるなどの問題を引き起こす可能性が高いです。
ブラックボックス化させる社員は、仕事自体はしているので、解雇することはできませんが、何らかの注意を普段から行う必要があります。
具体的には、経営者自らが本人を呼び出して、「君の仕事ぶりは認めるが、しっかりと周囲にどんな仕事をしているかを伝えるようにしなさい」と注意するようにしましょう。
問題社員の類型その4 周囲に不満をまき散らすモンスター社員
周囲に不満をまき散らすタイプのモンスター社員も存在しています。
「こんな会社いつでも辞めてやる」というタイプの社員ほど辞めずに残り、周囲にいる優秀でやる気のある社員から退職していきます。
サラリーマンとして働く以上、不満が出てしまうことはある意味では仕方がないのですが、行き過ぎた愚痴や言動は周囲に悪影響を与えます。
- 辞めるが口癖になっている社員
- 仕事中、明らかに不満そうな顔をして働いている社員
- やる気なさそうな言動を繰り返す社員
上記のようなタイプの社員には特に注意する必要性があります。
理由としては、いつ会社に損害を与える社員に変化するかわからないためです。
普段から不満をまき散らしているタイプの社員は、会社に対して敵対心を持っているケースも多く、会社の周囲の人間を巻き添えにしてモチベーションを削っていくこともあり得ます。
そのため、普段からよく注意深く観察しておく必要があります。
社内に経営者が知らない間に労働組合を作ろうとする可能性もありますし、放置しておくとやがて敵となって経営者の前に立ちはだかることになります。
問題社員の類型その5 部下がどんどん辞めていくハラスメント常習社員
管理職に多いタイプですが、部下がドンドン退職していくタイプの管理職は放置しておくといずれコンプライアンス問題に直面することになります。
人員不足で人が欲しいと陳情されて必死になって経営者や人事が連れてきた人材を過度な叱責などで退職させてしまうのがハラスメント常習社員の特徴です。
いまは若者の気質も変化しており、昔のような指導方法をとっていると部下が辞めていって、採用が追い付かなくなり、採用経費だけで数千万円気が付いたらかかっていたというケースも少なくありません。
人がドンドン辞めていく環境を作り出す上司の特徴として、以下の特徴があります。
- 仕事を部下に教えない
- 飲み会などに強制参加させる
- 部下を叱るときに、大勢の人がいる前で叱責する
- 人格否定を行う
といった特徴です。
パワーハラスメントだと言われて仮に社員に会社を訴えられた場合には、金銭的な損害よりもむしろ風評被害が懸念されます。
「あの会社、パワハラで裁判されているような悪質な会社らしい」とインターネットなどで拡散されてしまうと、会社の評判が下がるばかりか、優秀な人材の採用も難しくなっていきます。
対処法としては、部下を辞めさせてしまうような上司には、しっかりと指導を行うことが大切です。
- 部下が辞めれば金銭的な損害として、いくら損害を与えているかを数字で説明する
- いまは人手不足で人材の採用が難しい時代になっていることを伝える
- あまりにもひどいとパワーハラスメントをしたとして訴えられて、会社だけではなく上司も責任をとってもらう必要がある
という旨の説明を行い、繰り返さないように注意する必要があります。
基本的には、口頭指導などで経営者から管理職に指導するのが一番強い効果を発揮します。
管理職に進言できる存在は、問題を起こしている管理職よりも上位の管理職になりますが、部長と課長など同じ部署内で働いている者同士の場合は、距離が近すぎて進言できないためです。
口頭で改善をするように何度か指導して、それでも改善しない場合には、以下の具体的な方法があります。
- 適性がないとして降格処分を行う
- 部署異動を行う
などの方法です。
出来れば口頭指導で納めることが出来れば一番良いですが、それでもダメな場合には、上記のような手段をとることが必要になります。
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問題社員の類型その6 会社に出勤しない、欠勤が多い、遅刻が多い
問題社員として取り上げられる中で最も多いのが勤怠に関する問題を起こす社員です。
遅刻や欠勤をしても気にせず繰り返すタイプの社員です。
最初は真面目にしていたのに、なぜか試用期間を過ぎると急に勤怠が悪くなります。
勤怠が悪い社員は、周囲に悪影響を与えます。
- 管理職が生産計画など1日の計画を立てられなくなる
- 他の社員も真面目に出勤しなくなる
- 会社全体の風紀が緩んでしまう
欠勤と遅刻を繰り返されると、管理職が1日の仕事の計画を立てることが難しくなります。
また、他の社員も影響を受けて「少しくらいなら遅刻してもいいし、休んでもいいかな」となって、最終的には部署全体が悪影響を受けるようになります。
1つ勤怠の悪いグループが出来るとまるで追従するかのように、他のグループにも伝染していきます。
勤怠管理に関しては、しっかりとしたルール決めを行う必要性があります。
就業規則でも多くの会社では無断欠勤は何日以上で解雇するというルール決めを行っているとは思いますが、現実問題として社員を解雇することは容易ではありません。
何度も改善を促してやっと解雇できるというレベルなので、単純に欠勤何日以上というルール決めプラス、しっかりと職責のような小さなレベルの注意を何度も与えて少しずつ注意レベルを上げていく必要性があります。
また、そのような問題社員を解雇すると外部労組や、社内の労働組合とのもめ事の種にもなりかねません。
そこで、現実的な手段としては、注意を少しずつ重ねていくということになります。
また、どうしても解雇しないと会社全体に影響が出ることが懸念される場合には、社長や人事部単独で行動を起こすのではなく、弁護士に相談するようにしてください。
仮に弁護士費用などを浮かせようと考えても、あとで労働審判などで労働局に呼び出されて示談交渉に巻き込まれるなどすれば弁護士費用よりも大きなお金が出ていくことが一般的です。
解雇するときは、できるだけ外部の法律の専門家である弁護士に依頼するようにしてください。
結果的にはトラブルを大きくせずに済むことになります。
金銭的な問題だけではなく時間の節約にもなりますし、本業に支障がでないように法律の専門家に解雇案件はお願いするのが最も良いといえます。
社員を解雇するかどうかで迷ったら、弁護士に気軽に相談するようにしてください。