問題社員は、手順を踏まなければ辞めさせられません
日本の労働法制の下では、解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合には、無効となります。これを解雇権濫用法理といいます。
したがって、問題社員への対応において重要なのは、解雇に踏み切るかどうかという最後の判断ではなく、そこに至るまでにどのような手順を踏んだかという経過です。指導も注意もせずに解雇した場合、後の訴訟で会社が敗れる可能性が高くなります。
当事務所は、使用者側の立場から労働問題を取り扱っています。労働者側の依頼は受任しません。
問題社員の類型
問題社員と一口に申しましても、その内容により取るべき対応は異なります。
- 能力不足型(求められる水準の業務を遂行できない)
- 勤務態度不良型(遅刻、欠勤、業務命令の不履行)
- 協調性欠如型(他の従業員との軋轢、職場秩序の乱れ)
- 非違行為型(横領、着服、経費の不正請求、情報の持出し)
- メンタルヘルス型(就労が困難な健康状態にあるもの)
- 権利主張型(過大な要求を繰り返し、業務が滞るもの)
類型により対応が異なる理由
能力不足型については、教育及び配置転換による改善の機会を与えたかが問われます。非違行為型については、事実の調査と証拠の確保が最優先となります。メンタルヘルス型については、休職制度の運用と復職の可否の判断が中心となり、安易な解雇は安全配慮義務違反の問題を生じます。
踏むべき手順
- 第1段階 事実の記録。日時、場面、指示の内容、本人の対応を書面に残します。
- 第2段階 口頭による注意指導。改善すべき点と期限を具体的に示します。
- 第3段階 書面による注意指導。受領の事実を確認できる方法で交付します。
- 第4段階 配置転換又は業務内容の変更による改善の機会の付与。
- 第5段階 懲戒処分(譴責、減給、出勤停止)。就業規則の根拠を確認します。
- 第6段階 退職勧奨。合意による退職を目指します。
- 第7段階 解雇。以上の経過を踏まえてもなお改善しない場合に検討します。
退職勧奨における留意点
退職勧奨は、労働者の自由な意思による退職の合意を目指すものです。これに対し、退職を強要したと評価される言動があった場合には、退職の意思表示が取り消され、又は不法行為として損害賠償の対象となることがあります。
面談の回数及び時間が過大でないこと、退職以外の選択肢が残されていること、威圧的な言動を用いないことが重要です。合意に至った場合には、退職合意書を作成し、清算条項を設けます。
よくある誤解
- 「試用期間中なら自由に解雇できる」 試用期間中の解雇にも、解約権留保付労働契約の解約として相当性が要求されます。
- 「有期契約なら期間満了で当然に終了する」 反復更新の実態がある場合には、雇止めに客観的合理性と社会的相当性が要求される場合があります。
- 「退職届を書かせれば争われない」 強要と評価される経過があれば、意思表示の効力が争われます。
- 「就業規則がなければ懲戒できる」 懲戒処分には就業規則上の根拠が必要です。
御相談の申込み
問題社員への対応については、電話又はお問い合わせフォームより承ります。電話の受付は午前9時から午後9時まで、お問い合わせフォームは24時間受け付けています。
御相談の際は、就業規則、雇用契約書、これまでの指導の記録、勤怠の記録をお持ちください。手元に資料がない段階での御相談も承ります。



















