紛争は、制度の不備から生じます
労働紛争の多くは、個別の従業員の資質の問題としてではなく、制度の不備から生じています。就業規則が実態と合っていない、労働時間が正確に把握されていない、社会保険の適用が漏れているといった状態が、退職を契機として一斉に表面化します。
また、これらの不備は、M&Aにおける労務デュー・ディリジェンスにおいて偶発債務として評価され、譲渡価額の減額又は補償条項の対象とされます。平時の整備は、企業価値の維持にも直結します。
点検すべき項目
- 就業規則 最新の法令に対応しているか、実態と合致しているか、周知されているか
- 労働時間管理 客観的な方法により把握されているか、記録が保存されているか
- 賃金制度 みなし残業代の設計、手当の性質、割増賃金の基礎賃金の範囲
- 管理監督者の範囲 役職名ではなく実質により判断されているか
- 社会保険及び労働保険 パートタイマー及び嘱託社員の加入義務の履行
- 定年及び再雇用 65歳までの雇用確保措置の実施
- 同一労働同一賃金 正社員と非正規雇用者との待遇差の説明の可否
- ハラスメント防止措置 相談窓口の設置、方針の周知、事後対応の手順
未払賃金及び未払退職金は偶発債務として扱われます
賃金及び退職金を支払っているつもりであっても、割増賃金の算定方法に誤りがある場合、又は管理監督者の範囲を誤っている場合には、未払いが生じています。
この未払いは、貸借対照表に計上されていない偶発債務として、企業の評価に影響します。従業員数が多い場合には、3年分の遡及により相当額に達することがあります。
当事務所は、M&Aにおける労務デュー・ディリジェンスの視点を用いて、平時の点検を行います。
社会保険及び労働保険の未加入
パートタイマー及び嘱託社員についても、所定労働時間その他の要件を満たす場合には、社会保険及び労働保険への加入義務が生じます。
従業員本人の承諾を得て未加入としていた場合であっても、加入義務は法律上のものであるため、承諾によって免れることはできません。調査により未加入が判明した場合には、保険料の追徴を受ける可能性があります。
また、社会保険料を滞納した場合には、財産の差押えを受けることがあります。滞納が生じている場合には、早期に納付の猶予等の制度の利用を検討する必要があります。
整備の進め方
- 第1段階 現状の把握(規程、記録、実態の突合)
- 第2段階 法令との適合性の点検と、未払いの概算の把握
- 第3段階 優先順位の決定(金額の大きい項目、紛争化しやすい項目から)
- 第4段階 規程の改定と運用の変更。不利益変更に当たる場合には手続を要します。
- 第5段階 従業員への周知と教育
- 第6段階 定期的な再点検
御相談の申込み
労務コンプライアンスの整備については、電話又はお問い合わせフォームより承ります。電話の受付は午前9時から午後9時まで、お問い合わせフォームは24時間受け付けています。
御相談の際は、就業規則、賃金規程、退職金規程、雇用契約書の書式、勤怠記録の様式をお持ちください。



















